雪。

2001年9月11日
雪が降ってる。
きらきら、きらきら。
舞い落ちる。

テロが始まったとき、チナはベッドの上で二機目の飛行機がビルに突っ込んでいるのを、みた。

単純に事故だと思っていた。
ひどい事故。

窓の外は、穏かで、天気予報によると、秋のような空模様になると言っていた。

そのとうりだね。
いい天気だ。

今日は、エアロビのクラスがあるんだ。

手早く身支度して、家を出る。

自転車で15分。

ほとんどの人達がクラスには出席していた。

インストラクターが受講生たちに、被害を受けた人達のために、黙祷...いや、黙祷ではなくて、エネルギーを分けてあげましょうというようなことを言っていた。

3分間の祈り。

この時もチナは、これがすごい事件とは思わなかった。

12時以降のクラスがすべてキャンセルになっても、大袈裟だな、くらいにしか思わなかった。

きっと、こきみよく晴れた空と、テレビで見た映像があまりにもハリウッド映画的だったからだろう。

これから何かあるなんて、思いもしなかった。
(ホント、お気楽なヤツだ)

それが一転したのは、クリスからの電話。
ジムからわざわざ遠回りして、kmartでリップグロスなんか買ってうきうきしながら帰ってきた。

ボイスメールをチェックすると、クリスからのメッセージ。
「チナ、今うわさでテロリストが爆弾を仕掛けて...」
爆弾じゃないよ、やだねぇ
テロリストじゃないよ、事故。

ボイスメールの途中で発信音。
キャッチホンだ。
「チナ?ボイスメール聞いた?」
「うん、今帰ってきて、ちょうど聞いてたとこ。まだ帰ってこないの?」
「チナ、今日はもう家から出るな。何があっても。それから、これだけは覚えていて、愛している」

いくら鈍いチナでも、クリスにここまで言われたら何かがおかしいと感づく。

恐い、と初めて思った。

それからクリスが帰ってくるまでの4時間は、本当に、永遠にも感じるほど長かった。

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