Lovly Rain

2001年6月24日
バイトから帰ってくる頃は、青空もみえているというのにぽつぽつと小雨が降っていた。
春雨のように柔らかくてやさしい雨。
チナは結構雨にぬれて歩くの、好き。
きつねの嫁入りね、なんて日本的(?)なことをつぶやいて、一人笑う。

アパートに戻って。
たばこを吸いにテラスに出る。
その前にクリスに電話していつ頃戻るのかチェック。
板張りのテラスにペタンと座り込み、たばこに火をつける。
さっきまでちっとも吹いていなかった風が、徐々に強くなる。はらはらとゆっくり木の葉が舞い落ちる。
木の枝にびっしりと満開の緑葉が、風になびく。
ざわざわと葉っぱをこすりあわせながら、踊っているように見える木々。
遠くで雷鳴が聞こえる。

こんな時、とてもどきどきする。

チナの故郷はすごい田舎だ。
コンクリートでできたものは道路しかなく、見渡す限り、森とうねるような牧草畑。
磯臭い緑の海、満点の星。
チナは子どものころから嵐が好きだった。
どしゃ降りの雨。
雲間を走る雷。
そして、雷鳴。
とてもどきどきした。
耳を澄ませば雨の音。
雨で霞む景色。
「お祭り、みたい」

チナはこの気まぐれな祭りが、好き。
心の底からぐらぐらするような、そんな緊張感さえある。

オトナになったら、もっといろいろエキサイティングなことがいっぱいあると思ったの。
ネオンが瞬く都会では、毎日刺激的で、わくわくするようなことがいっぱいあると思っていた。
オトナになれば、魂がしびれるような毎日があると思ってた。
けれど、それは夢見がちな女の子が見る妄想だといつしか気づいてしまった。
友達と一晩中ばか騒ぎしても、恋人と甘い夢を見ていても、ライブハウスで踊っていても、知らない男の子とキスしても、不倫しても浮気しても、それは生活の一部でしかない。
ちっぽけなことでしかない。
その一瞬一瞬はいとおしいと思う。
でも、嵐の風が大木を揺さぶるようにチナの心を揺さ振りはしない。

雨が、降っている。
雨の粒が地上にはじけて、あらゆる物を霞ませる。
Lovely Rain。
どきどきする。

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