ゲイと元囚人。

チナの友達に、元囚人が彼氏の女の子がいた。
その彼氏は、ちょっとスローなかんじだったけど、結構ちゃんと物事が考えられる人（?）だったように思う。
なぜ彼が刑務所に入ってたかというと、（彼のお母さんの話によると）彼と弟は、手の付けられないような暴れん坊だった。ある日、彼らはいたずら心からある黒人（彼は白人）の男に殴るケルの暴行をして、病院に突っ込んだらしい。
それが裁判沙汰となって、（しかも不幸なことに相手の弁護士は優秀だったようだ）彼らのうち一人が5年間の間刑務所ですごさなければならないという判決がなされた。
当時、彼の弟には婚約者がいて、結婚もせまっていた。だから彼（仮名をジョン）が弟のためにも、と自ら刑務所におもむいた。ということらしい。
彼らがすんでいたのはテキサス。（始めジョンの話し方が変なのはスペイン語との方言が混ざった英語だとチナは思ってた）
そこでのほとんどの囚人は黒人もしくはヒスパニック。白人の彼は相当ないじめにあっていたらしい。
チナの友達と、彼の出会いはインターネットだった。
彼女にはほかに好きな人がいたらしいのだけど、寂しさと弱さからジョンと付き合いはじめた。
（もちろんジョンがテキサスから引っ越してきた後で）
いろんな人たちにジョンとの付き合いを否定されながらも、ジャーナリスト志望の彼女は、
「その人にどんな過去があったとしても、あたしの知ってるジョンはみんなのプリジャッジしてるような人じゃない。あたしは常に広い視野で物事を見ることにしている。いろんなことの立場から、いろんな角度で一つの出来事をみたい。ジャーナリストを目指すからにはね。だから彼の過去で彼のパーソナリティをジャッジしたくないの」
と言っていた。
もちろんチナもその意見に賛成だった。
チナも多かれ少なかれ、コミュニケーションの勉強をしているわけだから、彼女の意志に大変感動した...といってた矢先、である。
「あたし、ゲイの人って許せない。普通じゃないよ。バイブルに反してる」
と彼女は申すのです。
めちゃめちゃ前に言ってるのと矛盾してるじゃん。
犯罪者はジャッジしなくても同性愛者はその存在さえ否定することをいうなんて。
彼女のその考えは、ジョンが刑務所にいたときに同じく服役していた囚人に犯されたことがベースになっているのかな、と今なら（無責任の、だけど）想像する。
チナは人間だから、その経験からいろんな既成概念が人種や世代、そして文化によってあるけれど、なるべく対個人として友達を作るときはそれらを一掃するようにしている。
まぁ、当たり前のことかなこれは。
（何がいいたいんだろう、自分...?）